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RIAA(全米レコード協会)のパブコメ(翻訳版)

IFPIおよび米国レコード協会(RIM)にかわり、現在日本で審議中の諸問題に関する以下の共同意見を提出する。とりわけ、三つの重要な問題について検討を加える。(1)並行輸入をコントロールする権利;(2)保護期間および(3)法定損害賠償金。IFPIおよびRIMはそれぞれが、全世界およびアメリカのレコード業界を代表する業界団体である。我々のメンバーは、非常に多岐にわたる録音物を全世界的に制作、頒布しており、著作権保護の力に全面的に依存することにより、音楽の録音、頒布への投資を行っている。我々のメンバー会社は大小を問わず、年間の新譜発売が5タイトルであれ千タイトルであれ、同じ糸で結ばれている。すなわち、著作権保護という高貴な砦が存在してこそ、音楽を社会に提供できるのだ。
 以下で述べるように、我々はレコードの輸入を制限する無差別的な権利の採択を強く支持するものであり、日本政府に対し、現在録音物の保護期間が--年間以上である多くの国々と歩調を合わせることを要請する。我々はアメリカの保護期間(発売から95年)の検討を推奨するが、少なくとも、録音録画物の保護期間として最近日本で採択された、発売から70年間を提案する。最後に、我々は日本に対し、法定損害賠償金の採用を通し、取り締まり体制の強化を求める。海賊行為を抑止するための手段を担保するために、現在の環境にますます注意を払う必要があるが、法定損害賠償金の存在はそうした重要な手段の一つである。

I.輸入権の必要性 

 日本の著作権法が輸入権を付与することは重要であり、そうした権利がレコード製作者にもできるだけ早期に拡大されるべきであるという提言を全面的に支持する。権利者の同意無しに、著作権で保護されたコンテンツを日本市場に輸入することは、日本のエンターテインメント産業に悪影響を及ぼすものであるが、それは輸入権の導入により排除できる。以下において、日本における輸入権の必要性、および国内市場におよぼす恐れのある影響について詳細な分析をおこなう。

1.並行輸入は音楽産業に必要な製造および頒布構造を損なう

 レコード制作への投資には、相当のリスクが存在することは一般に認識されている。消費者の関心事としてのレコードは、必需品と奢侈品の中間的な存在であり、市場は、定例ではあるが裁量に左右される支出によって支えられている。優れたアーチストやレコードを生み出すことがレコード会社の成功にとって不可欠であるが、同じく重要なのは、レコード会社がその商品を市場に投入し、宣伝、販売する能力である。信頼性のある、安全で効率的な頒布形態なくしては、音楽業界は必要な市場での存在を維持することができない。
 したがって、商品の市場への流れを管理する能力は、必要な製造および頒布構造を維持するために不可欠である。反対に、管理されていない日和見的な輸入によって引き起こされる市場のゆがみは、こうした音楽産業のインフラを損ない、長期的な解決策の道を閉ざしてしまう。並行輸入は国内市場のコスト構造とは関係のない対外的な経済要因に依存するために、それが国内市場におよぼす影響は大きく変動し、レコード産業に内在する不確実性を大幅に高める。

2.並行輸入は商品の販売、宣伝広告へのただ乗りを可能にする

 レコード産業は複雑かつ予測しがたいビジネスである。すべての録音物の中で、世界的な「ヒット」曲となるために必要なすべての要素をそなえている楽曲はほんの一握りにすぎず、この範疇に属するものは楽曲全体の5パーセントにも満たない。しかし、こうした「ヒット」曲がレコード産業全体の売り上げ高の約70パーセントを占めており、それらの売り上げによって、売り上げの少ない楽曲で生じた損失のほとんどを補填しているのである。また、「ヒット」曲による販売収入の多くは、将来成功するか否かに関わりなく、新人アーチストや新曲への投資、新規市場の開発に使われている。
 並行輸入業者や、並行輸入されたアルバムを販売する小売業者は、国内市場においてレコード会社が行った販売や宣伝活動にただ乗りし、音楽文化のさらなる発展にまったく貢献していない。彼らは成功した楽曲を選び取るだけでなく、レコード業界の販売活動や、コスト集約的な商品の宣伝広告を利用している。レコード会社やディストリビューター、彼らが協力している小売業者は、自国市場に適したやり方で(自国市場のコストで)商品の宣伝、販売に投資している。こうして彼らは国内のパートナーと協同することで、国内の宣伝広告産業を育成しているのである。

 これに対し、並行輸入業者はたんに、日本において他社が行った宣伝、販売の成功の成果、または他国市場における商品展開の成功の溢出を享受しているにすぎない。こうした仕組みは公平な競争を奨励するものでも、豊かで多様性に富む創造的な商品の制作を奨励するものでもない。

3.並行輸入は独立系の小売業者ではなく国際的な小売りチェーンを利する結果となる

 並行輸入による小売り戦略を組織的に活用することにより、大型の、多くは国際的な小売りチェーンが、小規模な独立系の小売業者の市場シェアを犠牲にして成長していく。というのは、国際的な事業構造をもつ大規模小売業者は、他国の市場ですでにヒットチャート入りした楽曲にねらいを定め、全体のコスト構造が低い国で安価に大量購入し、通貨の変動を利用することができるからである。他国市場における経験では、レコードの並行輸入に対するコントロールがなくなると、大規模小売業者が恩恵を受け、独立系の小売業者が彼らによって排除される結果が見られる。

4.消費者の信頼は並行輸入によりしばしば悪影響を受ける

 消費者にとって、CDはたんなる音楽ではない。それは品質基準に準拠した媒体に固定された創造的な素材であり、それ自体に美的な意匠と価値を有するものである。そこには、ジャケットによる表現、実演家や作詞家、歌詞、音楽に関する追加的な情報が盛り込まれている。CDパッケージのクリエイティブな要素は、広告宣伝におけるある種のイメージの表現と結びついている。並行輸入は確立された品質基準や体裁からしばしば逸脱することが経験的に示唆されており、消費者の信頼を損ね、商品への責任について混乱を引き起こし、実演家や彼らの商品への忠誠度を希薄化させる結果を招いている。
 こうした懸念や、広告宣伝への投資を行っているのは一般に小売業者ではなくレコード会社であることを考慮すると、なおさら権利者が新譜発売後の商品の展開について十分にコントロールができるようにすることが必要であると思われる。さもなければ、品質の劣る商品が、消費者および権利者を阻害する形で、より優れた、より注意深くデザインされた商品と競合することが避けられないのである。

5.並行輸入は海賊版の取引を増加させる

 並行輸入に対する保護措置が存在しないと、海賊商品の売買が増加する。並行輸入された商品を購入したところ、オリジナル録音物の違法コピーであったり、盗難品であることが判明する場合がある。そのために、一目見ただけでは正規の商品か海賊商品かの見分けができない消費者が混乱し、さらにはレコード製作者の正当な販売や、高品質の商品を提供するという彼らの信望が損なわれる。

6.並行輸入は国内の宣伝広告業界およびその他のレコード業界のパートナーに不利益をもたらす

 国内の多くの関連業界が、レコード販売に関する国内対応から生じるビジネスにより恩恵を受けている。これらの産業部門はたんにCDの製造だけではなく、商品の販促や宣伝広告も含まれる。各国にはそれぞれ独自の文化や経済および商業的背景があり、それらによっていつ、どこで、どのような条件でレコードを製造、宣伝、販売するかを決定する。作詞家や実演家、レコード製作者が、まったく経済状態の異なる市場国に由来する輸入商品から自らの投資を守ることができないならば、クリエイティブな世界に対してマイナスの経済的影響を及ぼすのみならず、レコード産業の諸活動に関与している他の業界やビジネスにも悪影響を及ぼすことになる。国内経済および音楽産業を育成するためには、日本において、制作および頒布の流れの中で最大限の措置が取られるようにすることが重要であり、そうすることにより、洋盤および邦盤に関する国内利益から生ずる相乗効果を最大限に引き出すことが可能になる。日本でデザイン、制作され(ジャケットやジュエルケースを含む)、パッケージ化され、宣伝、販売されたCDは、他国の価値が低くて多くの場合品質の劣る商品のたんなる輸入販売よりも、市場によりプラスの影響を生み出し、日本により多くの利益をもたらし、関連業界により多くの雇用をもたらす。

7.並行輸入をコントロールする権利は無差別的に適用されなければならない

 RIAAおよびIFPIは、レコード製作者に輸入権を付与するための著作権の拡大を支持するものであるが、我々は審議会の報告書のある側面について幾分懸念をもつ。それは輸入権の付与を邦盤に限定するような検討が行われている点である。この問題が審議されるに至った経緯の大方は、日本のレコード会社が、日本市場に悪影響を及ぼす恐れを抱くことなく海外市場において彼らの著作物をライセンス供与できるようにしたいという希望から出発したことは十分理解するものの、まさに同じ状況が日本における海外の権利者にも当てはまることを指摘したい。もしレコード会社が、日本のような先進市場国と、同じ地域の開発途上国の間で異なる価格を提供できなければ、彼らはある国の購買力に連動した低価格商品を提供することが制限されてしまう。そうなると、一国の経済状況から見て、まったく合理性に欠く価格方針が生まれてしまう可能性がある。なぜなら、レコード会社が適切な形で国境を守ることができない以上、「内国的」要因に基づいた方針を設定することができないからである。したがって我々は、差別的な立法採択に強く注意を喚起するものであり、日本政府に対し、洋盤邦盤を問わずすべてに輸入権を付与するよう要求する。


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